本記事は、タイトル通り『シン・エヴァンゲリオン劇場版𝄇』の鑑賞直前と鑑賞後の考えたことを記録した断続的な備忘録です。
感想というには自分の思いをまとめきれていないし、まして考察や評論と呼べるような論理性もありません。本当にただの記録です。
また、シンエヴァ以外の作品への言及もあり、お笑いライブ『明日のたりないふたり』のネタバレも含まれていますのでご注意ください。
3/7 午後11時30分頃
本日は午前11時頃に起床。
洗濯物をクリーニングに出した後、都市部へ。
しばらく暖かい日が続いていたのに本日は寒さがぶり返しており、大事があってはいけないのでかぜ薬を買った。
午後4時半頃に自宅に戻る。まだ時間があったので買ったものを家に置いて漫画喫茶へ。『エアギア』を久しぶりに読み返す。やはり大暮先生の異常画力に圧倒される。週刊連載でやって良い画ではない。
日付が変わる直前くらいまで、上田慎一郎監督のシンエヴァに向けての配信アーカイブを観る。上田監督、被写体として魅力的。
長い1日だった。体感時間の引き延ばし感がすごい。
良い感じに眠くなってきている。もうすぐ寝る。
3/8 午前7時
あまりしっかりとは眠れなかった。コンディションはあまり良くない。
いよいよ当日。
気温は昨日に続いて低い。
うっすら雨が降っている。
ここ1年ずっと辛い情勢だが、シンエヴァのおかげで未来への楽しみ・希望が持てていた。この状況下でシンエヴァを観た記憶はずっと忘れないと思う。
21時頃
観終わった。
いや〜〜〜〜〜、うーん………。
鑑賞後、映画館の入っている施設内で昼食(海鮮丼)を食べて、帰宅。
やはり十分眠れていなかったせいか、午後6時くらいまで泥のように寝た。
その後はクリーニングに出していた衣類を回収しに行って、帰りに夕食を食べて(ラーメン)、風呂に入って今に至る。
さて作品の感想だが、総じて言えば「可もなく不可もなく」という感じ。
若干寝不足で頭がフル回転していなかったこと、初見なので細部まで理解が及んでいないこと等があるため今後考えが変わる可能性は大いにあるが、とりあえずは1回目鑑賞直後の記録として。
先鋭的なセンス・アイディアを詰め込みまくった末に破裂したTVシリーズと旧劇場版、10年弱の間を置いた後万人向けのエンタメを志向しリビルドした新劇場版:序・破、さらなる混沌とアンチカタルシスに舵を切ったQ、そして完結編となる本作シン・エヴァンゲリオン劇場版。
あのQの幕切れ後にどう物語を始めるのかと思ったら、まさかのトウジ・ケンスケ・ヒカリとの再会! 真っ当に歳を重ねて落ち着いたトウジの声音が聞こえた時はいきを呑むとともにちょっと目が潤んでしまった。
そしてトウジ達ふくめた生き残り人類の集略での生活がスタート。
昭和初期の農村のような暮らしの中、アヤナミは好奇心旺盛な幼児のように人間性を学んでいき、アスカは険しい顔をしつつシンジを見守り、廃人状態だったシンジは人々の優しさによって徐々に言葉と意思を取り戻していく。
このシンジくんセラピーパートが結構な時間を割いて描かれるので、絶対必要なシーンなのは分かってるけど残りの尺大丈夫なのか…?と鑑賞中はちょっと不安を覚えていた。
ミサトさんの息子にして加持さんの忘れ形見・リョウジくん登場には驚いた。
と同時に、Q以降のミサトさんがシンジに向ける感情に補助線が引かれた感じ。ミサトさんにとってシンジくんは新劇破までの疑似家族的存在から否が応でも実の息子と重ねてしまうものになっていて、最早気負いなく接することができなくなってしまっていたんだな。
ヴンダーが集落に到着しシンジが覚悟を決めると、いざ最終決戦へ一直線。今回の作劇は非常にシンプル。
再起してからのシンジはヴィレメンバーからの剣呑な態度にも粛々と応じ、自分の出番を静かに待つ。Qの惨劇で全てを失くしたように見えて、その下には序・破での経験値がしっかり残っていたのが嬉しかった。
自らが犯した罪に対して罰を受けること。全てが自分のせいではなくても、その責任を引き受けてケリをつけようとすること。どちらも贖罪行為のようでいて、決定的に違う。シンジは前者から後者にギアを切り替えた。
だから、終盤で救済されるのはシンジ自身だけでなき周りの人物達だった。シンジが聞き手となって相手の心を融かし送り出す。かつてTVシリーズ最終回でただ周りから「おめでとう」と祝福される結末だった少年が。
しかし、このラストに行き着くまでの旧劇を彷彿とさせる実写映像や心象風景には「エヴァがエヴァっぽいことやってる……」と妙な戸惑いを覚えた。
戦闘の舞台が実写の撮影セットのようにになっているというメタネタは面白かったし、セットが破壊され大道具や撮影機材を片付けていく様はエヴァというコンテンツの店仕舞いを見せられているようで感慨深かった。が、過去の映像をサンプリングして新規の物語に組み込んでいく描写は悲しいかな『エウレカセブンハイエヴォリューションANEMONE 』という頭抜けた先例のデッドコピーに見えた。こればっかりはしょうがない(と同時についにエウレカはエヴァを追い越していたんだな、と)。
電車から降りて、既存のキャラ達が佇むプラットフォームを後にして、外部の象徴であるマリと新しい世界へ走り出していく……。
とまあ、書きながら作品をおさらいしていくと、なるほど最終作にふさわしい結末だったなあと納得する一方で、わりと醒めている自分がいる。
実際号泣や激怒するほど感情を芯から揺さぶられることはなかったし(いや、シンジとミサトさんの「行ってきます」「行ってらっしゃい」はさすがにぐっときた)、細かく考えると色々と粗を見つけてしまいそうにもなる(最後のイメチェン時のミサトさんの前髪どうなってるんですか?)。
さすがに自分も年をとって、エヴァの物語が心にジャストミートする時期から外れてしまったのかもしれない。しかし、だからこそこの肩透かし感は悪い気はしない。昔すごく心配な状況に陥っていた人に久しぶりに会ったら案外ケロっとしていて、挨拶もそこそこに別れた、みたいな。意外な安堵感がある。
これからエヴァンゲリオンというシリーズがどうなっていくのか。本当にこれで完結なのか、別のスタッフで新たなエヴァが作られるのか、そしてもしそうだったとして自分はそれを観るつもりになるのか。
先のことは全く分からない。今はこの真っ白な地平をただのんびりと眺めていたい気分。
3/9
12時を回ると進撃の巨人最新話(ラスト1話前)が公開された。あまりの残酷な展開にシンエヴァどころではなくなり泣き寝入り。どうしてあんなことするの?
3/10
職場で掃除をしている最中、やはりシンエヴァは長い後片付けの話だったのかなと思い至る。
作品のヒロインは、宿命づけられた主人公への恋情も時が経てば薄らいでいき、本来は日常を象徴するサブキャラだった人間と良い仲になって。主人公自身も既存のキャラ達が佇むプラットホームを後にして、新劇場版からの新参キャラと未来へ・外の世界へと駆け出していく。
そんな有様こそ、シンエヴァに対してテレビシリーズや旧劇ほどに新規性を感じず、新劇の序・破ほど高揚せず、Qほどに混乱せず、だいぶ心が離れてしまった自分にむしろマッチしている。
「父さんは母さんを見送りたかったんだ」
そういうことなのかもしれない。
自分も、作品に別れを告げたい(/告げられたい)からこそ執着していたのかもしれない。
3/12
シンエヴァで明かされた加持リョウジくんの存在をふまえると、Qでのミサトさんはほとんどゲンドウと対になる在り方だったんだなと分かる。
シンジくんに息子の姿を重ねていたであろうことは間違いなく、彼に上手く向き合えずただ「何もするな」「エヴァに乗るな」としか言えない、という。
3/13
うーん、やっぱりシンエヴァのことを掘り下げて考えようとすると、結局は類似するテーマ・話をより演出キレキレで90分程で語り切ったAnemoneのが……という袋小路に突き当たるな。しかもエウレカは次作でさらにその先が待っている。
『夜のピクニック』がアマプラに入っていた。少女期の多部未華子……!!
しかし月初めからこっちシンエヴァのネタバレ防止のためTwitterから離れたら眠りが深くなるわ集中力が増すわ漫画のネームが爆速で進むわ、ヤバいな。もしかしてTwitterって悪なのでは……?
3/14
第3村でのトトロ的な暮らしの中優しい言葉をかけ続けられたシンジが回復していく流れは、それ以外のやり方があるのかと言われたらそうなんだけど、やはり素直には呑み込みづらい。
それができたら苦労しないよって話を延々やってきたのがエヴァじゃないの?って思うので。
3/15
シンエヴァ2回目鑑賞。今度こそ睡眠バッチリきめたうえで。
眼前の映像と音声をただ受け止めるのに精一杯だった初回に比べて、今回はだいぶ話のバックボーン等を考えながら観る余裕が出来た。
3/17
一番問題なのは、本シリーズでさんざんやってきた特撮オマージュを突き抜けてとうとう特撮そのものをエヴァでやります!という仕掛けで出てきたモノが、サプライズ性抜きにしたら全然見栄え良くなくてつまらなかった、ということだと思う。
憧憬の行き着く果てがこれでいいのだろうか。
3/22
3/23
シンエヴァ鑑賞3回目。
話はもう分かったので、改めて画面そのものに集中して観れた気がする。
マリ、アスカの戦闘はやはり鮮烈で面白い。鬼滅のねずこといい、ヒロインが鬼の形相で戦っても全然良いんだよな……。
そういや鬼滅の炭治郎の独り言だらけの戦闘の既視感ってマリのそれだった。
あと、初めて魚釣りに挑んでボウズだった時に顔を赤らめるシンジくんが作品イチ可愛かったなと再確認。
3/29
モンハンの映画を観に行く。ミラ姐とトニージャーが肉体言語で衝突・結束していく場面の愛おしさ!
かなり良かったけど、モンハンの映画化なのにあのメインテーマを流さないという歴史に残る愚挙をやらかしていたので0点。
4/5
まだ先だけど今のところコロナのワクチン接種後は献血ができないとのことなので、ちょうど近所に来ていた献血バスへ。
人生初の献血で存外緊張していたのか、軽い貧血になってしまった。バス中でしっかり休んで、帰宅してからも安静にしていた。
視野がだんだん狭く暗くなっていく感覚、ヤバかった。
布団で横になりながら、上田慎一郎監督のシンエヴァ鑑賞後の配信を観る。上田監督の自作への想いもさらけ出しながらのテーマ考察、ゲスト出演した松本監督の登場人物の心情に寄り添った考察、どちらも素晴らしかった。
ただ、やっぱりここまで穿って考えないと納得が得られない脚本はやはりどうなんだろうという思いは消えず。特にシンジの気持ちが途中から見えなくなる辺りは単純に消化不良感がある。
4/10
KMNZというVtuberユニットを知った。ヒップホップ系の音楽活動をしていて、なかなか聴きやすくカバー曲も嗜好に合うものが多い。特に「今夜はブギーバック」カバーを狂ったようにリピートしてる。
シンエヴァの上映が終わる頃には、最後にもう一度観に行こうかなーと思っている。
なんだかんだまだお別れしたくない、いや、本当に今度こそ見送りたいのか。
4/13
Gのレコンギスタ劇場版3作目の特報が公開されていた。メッセージ動画での富野監督のパワフルさにちょっと涙ぐんだ。
4/20
あーそうか、シンエヴァの第三村でアヤナミが年配女性に囲まれて不器用に労働していく様子の既視感、作画監督つながりで『この世界の片隅に』なんだ。
『この世界の片隅に』といえば、作中の空襲警報の描写で、北條家の人々が最初は警報がなると大慌てで防空壕に籠り戦々恐々としていたけれどそれが何度も繰り返されるうちに「やれやれまたか」と飽き飽きした感じになる……というものがあった。
ろくな保障もない何度目かの緊急事態宣言を死んだ目で見ている今現在、わりと通じるところはあるんだろう。
4/24
コナン緋色の弾丸を観る。ラストカット、残骸と化した競技場の空撮に椎名林檎の歌声が響き渡るという、なんたる光景。
5/31
オードリー若林と南海キャンディーズ山里の漫才ユニット「たりないふたり」の解散ライブ『明日のたりないふたり』をリアルタイム視聴。
何とこれが、明らかにいち早くシンエヴァを取り入れた内容になっていた。
そういや若林も山ちゃんも現時点で40代初めなわけだからエヴァ直撃世代なのか。実際に観てたのかは知らないけど、思うところは少なからずあるんだろうな。
お笑い界において「たりない」という飢餓感・妬み嫉み・自意識・持ってない側であることを売りにしてきた二人。が、いつの間にか十分ベテランの域に達してパブリックイメージもお行儀よくなってきて、それでも山ちゃんは「たりない」アイデンティティを捨てきれず、一方で若林は積極的に「持ってる」側へ行こうとしていて。そのすれ違いで2020年の『たりないふたり春夏秋冬』で二人の仲がヒリついてしまい、ラジオでの悶着もふくめハラハラした雰囲気のまま今回の解散ライブ当日を迎えて。
そのライブで繰り広げられたのは、二人の漫才というよりも必死の攻防だった。山ちゃんのたりなさを若林がイジる構成で進行し、ついに山ちゃんが「たりなさ」を捨て去ろうとする。しかし若林が突如激高し、そのたりなさという竹槍で最後まで戦い抜けと詰め寄る。そして自身も持ってる側への憧れを抱えつつも実はたりないままだったことを暴露し、壮絶なぶつかり合いを繰り広げる。
やがてヘロヘロになった二人は雰囲気を和らげ、「たりない」ことに「満足」してライブを終える。
と、そこへかつて二人のたりなさに導かれてジャンルは違えど舞台に上ってきた者達が現れる。その次世代の「ふたり」へと「を託したところで、配信映像がフェードアウトしていく……。
エヴァパロ自体を置いといても、このライブ全体が「自分が観たかったシンエヴァ」のような作品に仕上がっていた。
シンエヴァに対してそれこそ物足りなさを感じていて、でもどういうものを求めていたのかが具体化できなくてずっともやもやしていたけれど、やっと自分の中で何かがひと段落ついた心地だ。
6/13
特典の薄い本目当てでシンエヴァ4回目鑑賞。
これで最後。
ついでに『閃光のハサウェイ』も鑑賞。素晴らしかった!
ガンダムという人型巨大兵器の現実的な脅威描写やハサウェイ・ギギ・ケネス三者三様の一筋縄でいかないキャラ造形など美点はたくさんあるが、自分的には劇中で繰り返される「降下」のイメージがクセになって、その確認のためにだけでももっかい観ようと思っている。景気の良い上下運動のある映画はイイ。
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以上です。
いつかちゃんとしたかたちで感想記事にするかもしれないし、これっきりかもしれない。とりあえず今のところはこういう気持ち。
後々のための記録として残しておきます。